母乳育児を推進するために、母乳代用品を扱う企業や団体との適切な関係を構築するための行動指針

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T 本指針の策定の目的

 公益社団法人日本助産師会(以下本会)は、母乳育児支援に関する国際的な動向、国内の動向、および国際助産師連盟、日本助産師会の助産師の声明に基づき、それぞれの助産師が高い倫理性をもって個別的状況下の母子に寄り添いつつ、根拠に基づいた支援を提供し、関連団体と協働して日本の母乳育児推進のために活動することが重要であると考えています(日本助産師会 2015)。
 国際助産師連盟(ICM)は、母乳育児支援に関する Position Statement(ICM 2017)の勧告で、助産師は、母乳育児の保護と支援のために活動する、新しい根拠に基づいた支援をすることなどに加え、母乳育児代用品のマーケティングに関する国際規準(以下WHOコード)を遵守し、企業がそれを遵守することを監視することを明記しています。また、WHO/UNICEFの「母乳育児成功のための10か条」も改定され、「母乳育児がうまくいくための10のステップ」(WHO/UNICF 2018 )としてWHOコードを遵守することがより強化された内容となりました。そこで本会でも、より一層の母乳育児を支援・保護・推進のために、企業との適切な関係を構築し、行動を取ることが重要と考え、本指針を策定いたします。

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U 行動指針および、具体的な行動の留意点

1.本会の助産師は、「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」と乳幼児の栄養に関する世界決議の内容を遵守しましょう。

2.本会の助産師が主催する研修会や学会等で企業からの協賛や協力を検討する際には、母乳代用品の宣伝や販売促進、利益相反が生じないことを確認しましょう。

3.本会の助産師は、普段の活動や業務の中で、母乳代用品を販売する企業から、無料のサンプルや販売促進になるような物品(※注)を受け取り、それを妊娠中や授乳中の女性、その家族に渡さないようにしましょう。勤務する施設でこれらのことが実践されていないときには、改善にむけて努力をしましょう。
※注 「無料のサンプルや販売促進になるような物品」とは、粉ミルクや液体ミルク、哺乳瓶などの商品の無料サンプル、企業名や商品名の入ったボールペンやカレンダー、授乳記録、飲み物といった販売促進の物品などをさします。無料サンプルを母親に善意で渡す、授乳記録が便利だから配布する、産前・産後クラスで無料の飲み物を提供するといったことは、企業が行っている母乳代用品の販売促進のための活動の一部を助産師が行っていることにつながります。

4.本会の助産師は、人工乳についての情報は、それが必要な女性とその家族に個別に伝えるようにしましょう。その際には、人工乳を使う母親の気持ちに寄り添いながら、科学的な根拠に基づいた中立な情報と、適切な使用方法について伝えるようにしましょう。

5.本会の助産師は、自らも、また後進の助産師にも、母乳育児を支援するために、根拠に基づいた十分な知識、能力、スキルを持てるような活動を継続しましょう。

母乳育児代用品のマーケティングに関する国際規準

(要旨)

  • 1.消費者一般に対して、母乳代用品の宣伝・広告をしてはいけない。
  • 2.母親に試供品を渡してはいけない。
  • 3.保健施設や医療機関を通じて製品を売り込んではならない。これには人工乳の無料提供、もしくは低価格での販売も含まれる。
  • 4.企業はセールス員を通じて母親に直接売り込んではならない。
  • 5.保健医療従事者に贈り物をしたり個人的に試供品を提供したりしてはならない。保健医療従事者は、母親に決して製品を手渡してはならない。
  • 6.赤ちゃんの絵や写真を含めて、製品のラベル(表示)には人工栄養法を理想化するような言葉、あるいは絵や写真を使用してはならない。
  • 7.保健医療従事者への情報は科学的で事実にもとづくものであるべきである。
  • 8.人工栄養法に関する情報を提供するときは、必ず母乳育児の利点を説明し、人工栄養法のマイナス面、有害性を説明しなければならない。
  • 9.乳児用食品として不適切な製品、例えば加糖練乳を乳児用として販売促進してはならない。
  • 10.母乳代用品の製造業者や流通業者は、その国が「国際基準」の国内法制を整備していないとしても「国際基準」を遵守した行動をとるべきである。

注:母乳代用品とは、乳児用人工乳、それを与えるための哺乳瓶や人工の乳首さらに、補完食(離乳食)として与えられる、哺乳瓶や、人工乳首を使用して与える調整乳、乳製品その他、飲み物、食べ物、すべてを指す。

文献
*Annelies Allain& Andy Chetly,母乳支援ネットワーク翻訳チーム訳(2007);乳幼児の健康を守るために:WHO「国際規準」実践ガイドブック 保健医療従事者のための「母乳代用品マーケティングに関する国際規準」入門
*ICM(2017):ICM Position Statement:Breastfeeding. https://www.internationalmidwives.org/assets/files/statement-files/2019/06/breastfeeding---v2017-eng-breastfeeding-letterhead.pdf (2019.7月検索)
*日本助産師会(2015):母乳育児支援業務基準 乳腺炎 2015 p8
*WHO/UNICEF(2018):The Ten Steps to Successful Breastfeeding, 母乳育児がうまくいくための10のステップ 「母乳育児成功のための10カ条」2018改訂版 https://jalc-net.jp/dl/10steps_2018_1989.pdf(2019.7月検索)

2019年9月 授乳支援委員会作成

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